会長挨拶
令和6年1月
日本肥料アンモニア協会
会 長 藤 井 政 志
新年にあたり、ご挨拶申し上げます。
新年早々ではありますが、この度の能登地震で亡くなられた方に哀悼の意を表すと共に被害に遭われた方々にお見舞い申し上げます。一刻も早く復旧され、従来の生活を取り戻されます様お祈り致します。
昨年を振り返りますと我が国経済は、賃上げの加速、緩和的な財政・金融政策など下支え要因もありましたが、景気回復は緩やかなものになりました。円安の定着もありましたが、欧州経済の悪化や中国経済の回復の遅れなど、輸出が景気の牽引役となることは難しい状況にあったと思います。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の長期化、昨年10月に始まったパレスチナ自治区のイスラム組織「ハマス」とイスラエルの武力衝突(戦争)は、原油動向や私共の企業活動に少なからず影響を与える懸念があります。
自然環境においては、昨年も従来を上回る規模の集中豪雨などの災害が発生しました。被害を受けられた被災者の皆様に心よりお見舞い申し上げますと共に、一刻も早く復旧され、従来の生活を取り戻されます様、お祈り申し上げます。
国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)「IPCC1.5度特別報告書」は、産業革命以降の温度上昇を1.5度以内に抑えるという努力目標を達成するため、2050年近辺までのカーボンニュートラルが必要という報告がされています。我が国においては、2020年10月の菅総理(当時)のカーボンニュートラル宣言を受け、私共の扱い製品であるアンモニアは、既存の市場(肥料、化学品等)から、燃料用としての脱炭素化を指向した発電分野への市場拡大が見込まれております。また、国際輸送など長距離を移動する船舶分野の利用先としても注目されております。
当協会としましては、今後の安全・安定供給の為、技術交流など事故を未然に防ぐための取り組みを進めるなど、燃料アンモニアに関する取り組みを積極的に推進することで、カーボンニュートラルに向けた動きにも対処貢献していくことが重要であると考えております。
肥料工業においては、肥料製品の安定供給を最優先課題としておりますが、昨年は原料の確保に苦慮しました。ウクライナ危機などで高騰していた輸入原料価格は一旦は落ち着いていましたが、中国が肥料の輸出規制の延長を発表したことから不透明感が増しています。ご承知の通り「国家安全保障推進法」が施行され、特定重要物資として「肥料原料」が指定されております。生産基盤の強化や原材料の備蓄(リン安・塩化加里)を支援する仕組みが構築され、国内の安定供給の重要性が認識されつつありますが、カーボンニュートラルやエネルギー関連の動きから、窒素肥料においても不安定さは付きまとっています。肥料原料の安定確保は様々な危機を想定したものであるべきと思います。当協会としても、各方面と協力しつつ肥料の安定供給に向け積極的に対応して参りたいと思います。
世界の食料生産は地球温暖化、砂漠化、自然災害、農業用水の確保等々の問題もあり、今後とも飛躍的な上昇は期待できない環境にあります。人口の増加に伴い食料消費が着実に増加する一方、生産環境が不安定であるという構造的課題を抱えており、農産物生産にとって不可欠な肥料の重要性はますます高まると予測されています。我が国は、農業就業人口の減少と高齢化・後継者不足、耕作面積の減少・耕作放棄地の増加、農山村の過疎化の進行、土地利用型農業での規模拡大の遅れなど様々な問題を抱えています。政府は、「食料・農業・農村基本法」の見直しを行っており、私共肥料業界は「食料の安定供給の確保」という基本理念に貢献すべくアプローチして参りたいと思います。
一方、私共肥料関係団体は、前回の「プラスチック資源循環アクション宣言」を更に具体化した海洋流出防止に向けた取組方針を実施しておりますが、プラスチックを取り巻く環境は厳しさを増しております。現在「海洋環境を含むプラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書(条約)の策定に向けた政府間交渉委員会(INC)」が進行しており、交渉委員会の結果次第では我が国の水稲栽培、ひいては食料の安保にも大きな影響が出ることが予想されます。
INCにおいては世界一律の規制ではなく、各国の事情を踏まえ科学的根拠に基づく対応が重要であり、既存の他条約との重複に留意すべきであります。本件につきましては、農林水産省と経済産業省共連携をとりながら進めて参りたいと思います。
私共の協会はアンモニア、尿素、硫安などから最終製品の肥料までを取り扱う幅広い業界であり対処すべき問題は山積しております。会員各社を取り巻く事業環境は厳しい状況が続いておりますが「個別企業で対応困難な共通問題の解消」に集中し積極的に取り組んで参りたいと思っております。肥料およびアンモニア工業の持続的発展のために、諸課題に対し誠心誠意対応して参りますので、皆様方のご支援、ご協力を賜ります様よろしくお願い申し上げます。
以上
沿革
日本肥料アンモニア協会は2003年(平成15年)7月に日本アンモニア協会と日本化成肥料協会が合併して発足しましたが、そこに至るまでの両協会の沿革は以下の通りです。
日本アンモニア協会
1932年(昭和07年) | 硫安配給組合設立 |
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1936年(昭和11年) | 硫安肥料製造業組合設立 |
1946年(昭和21年) | アンモニア系製品懇話会設立 |
1947年(昭和22年) | 硫安肥料工業経営者連盟設立 硫安工業復興会議設立 |
1948年(昭和23年) | アンモニア系製品協会設立 |
1950年(昭和25年) | 日本硫安工業協会設立 |
1990年(平成02年) | 日本硫安工業協会・アンモニア系製品協会が合併 日本アンモニア協会設立 |
日本化成肥料協会
1910年(明治43年) | 過燐酸同業者会設立 |
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1931年(昭和06年) | 燐酸肥料工業組合設立 |
1936年(昭和11年) | 過燐酸肥料製造業組合設立 |
1947年(昭和22年) | 燐酸肥料工業会設立 |
1947年(昭和22年) | 燐酸肥料経営者親交会設立 |
1951年(昭和26年) | 燐酸肥料経営者親交会を燐酸肥料協会と改称 |
1959年(昭和34年) | 化成肥料協議会設立 |
1966年(昭和41年) | 燐酸肥料協会・化成肥料協議会が合併 日本化成肥料協会設立 |
活動概要
協会名称 | 日本肥料アンモニア協会 (英語表記 Japan Fertilizer & Ammonia Producers Association) |
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設立 | 平成15年7月1日 |
事業目的 | 当協会は肥料・肥料原料及びアンモニア並びにア系製品の製造・販売会社であって、本会の趣旨に賛同するものを持って組織され、会員相互の連絡及び親睦をはかり、肥料・アンモニア工業の健全なる発達を期する事を目的としています。 |
事業概要 | 当協会はその目的を達成するため、次に掲げる事業を行っています。
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協会機構図
会 長 | 藤 井 政 志 | 三菱ガス化学株式会社 代表取締役社長 |
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副 会 長 | 表 博 幸 | ジェイカムアグリ株式会社 代表取締役社長 |
基本問題検討委員会委員長 | 大 谷 均 | 三菱ガス化学株式会社 基礎化学品事業部門基礎化学品第一事業部長 |
基本問題検討委員会副委員長 | 勝 呂 俊 行 | ジェイカムアグリ株式会社 取締役副社長 |
会員名簿
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協会所在地ならびに交通案内
住所 | 〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2-9 宮川ビル9階 |
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電話番号 | 03-5297-2210 |
ファックス | 03-5297-2230 |
交通案内 |
都営地下鉄新宿線 岩本町駅A2出口 徒歩30秒 つくばエクスプレス秋葉原駅 A1出口 徒歩5分 (ルート) JR秋葉原駅 中央口出口 徒歩5分 (ルート) JR神田駅 東口出口 徒歩6分 (ルート) 東京メトロ銀座線 神田駅6番出口 徒歩5分 (ルート) 東京メトロ日比谷線 秋葉原駅5番出口 徒歩4分 (ルート) |
統計
単肥及び複合肥料需給実績
平成14肥料年度 | 平成15肥料年度 | |||
平成16肥料年度 | 平成17肥料年度 | 平成18肥料年度 | 平成19肥料年度 | 平成20肥料年度 |
平成21肥料年度 | 平成22肥料年度 | 平成23肥料年度 | 平成24肥料年度 | 平成25肥料年度 |
平成26肥料年度 | 平成27肥料年度 | 平成28肥料年度 | 平成29肥料年度 | 平成30肥料年度 |
令和1肥料年度 | 令和2肥料年度 | 令和3肥料年度 | 令和4肥料年度 |
単肥及び複合肥料都道府県別出荷実績
平成14肥料年度 | 平成15肥料年度 | |||
平成16肥料年度 | 平成17肥料年度 | 平成18肥料年度 | 平成19肥料年度 | 平成20肥料年度 |
平成21肥料年度 | 平成22肥料年度 | 平成23肥料年度 | 平成24肥料年度 | 平成25肥料年度 |
平成26肥料年度 | 平成27肥料年度 | 平成28肥料年度 | 平成29肥料年度 | 平成30肥料年度 |
令和1肥料年度 | 令和2肥料年度 | 令和3肥料年度 | 令和4肥料年度 |
化成肥料に係る設備能力に関する調査
平成27肥料年度1-6月 | 平成28肥料年度 | 平成29肥料年度 | 平成30肥料年度 | |
令和1肥料年度 | 令和2肥料年度 | 令和3肥料年度 | 令和4肥料年度 |
アンモニア需給実績
平成15会計年度 | ||||
平成16会計年度 | 平成17会計年度 | 平成18会計年度 | 平成19会計年度 | 平成20会計年度 |
平成21会計年度 | 平成22会計年度 | 平成23会計年度 | 平成24会計年度 | 平成25会計年度 |
平成26会計年度 | 平成27会計年度 | 平成28会計年度 | 平成29会計年度 | 平成30会計年度 |
令和1会計年度 | 令和2会計年度 | 令和3会計年度 | 令和4会計年度 |